熟成が進んだDOG FIGHTで CS進出の切符をもぎ取る
──藤田弘樹HC

新加入選手は少数精鋭の4名にとどめ、
昨季からのバスケを深化させて挑む
藤田弘樹ヘッドコーチが新任しての昨季。エヴェッサは29勝31敗、西地区4位の成績を残した。大阪で初めてタクトを振ったシーズンを振り返り、指揮官はこう語る。
昨季は僕の1シーズン目だったので、あえて戦術的な要素を多く取り入れず、シンプルなことを愚直に、チーム全員で頑張り続けることをテーマにしていました。DOG FIGHTというカルチャーだったり、そういうことをチーム全員で作っていくシーズンでした。そういった面に関しては、いいシーズンだったのかなと思っています。もっと勝ちたかった思いが残ったのは事実ですが、全体的に見るとチームのベースは作れた手応えが残っています
DOG FIGHTをキーワードに掲げた2024-25シーズン。文字通りに最後まで激しく戦い抜いたことで、チームカルチャーの礎が築かれたと言えるだろう。
シュートが入る、入らないは水物ですから。それよりも大事なのは、誰もがいつでもできるようなことを、つねに高い水準で頑張れること。ディフェンスで前からプレッシャーをかける、しっかりとボックスアウトしてリバウンドを頑張る、トランジションディフェンスで力を抜かずに走る。それをやり抜くことに、すごく時間をかけました。簡単に聞こえるかもしれませんが、それらをやり続けるにはスタンダードが高くないとできません。優勝するチームは、そうした基盤ができていると毎シーズン感じます。シンプルなことを、高い水準で遂行できる。それが強いチームだと、僕は信じています。だから昨季は、そういったことを徹底するのに、大きな時間をかけましたね
今季を迎えるにあたって藤田HCは続投し、外国籍選手も全員が残留。新加入は日本人選手4名のみ。チームは昨季からのコンセプトをキープして臨む。昨季はほぼゼロの状態からチーム作りがスタートしたが、今季は昨シーズンに築き上げた土台がある。これは今季のチームの強みである。
やっていくバスケットの根底は、変わりません。ディフェンスは全員でハードワークして、オフェンスも全員で目的を持ってボールを回しながら展開する。そのうえで昨季からの上積みになりそうなのは、ガード陣のディフェンス力ですね。これは正直、昨シーズンより格段に上がっています。あとは外国籍選手も昨シーズンから全員が継続なので、(#15竹内)ジョージさんを含め、ビッグマンみんながどういうバスケットをやるか理解してくれている段階からのスタート。ディフェンスもオフェンスも理解力が高いので、HCとしてもすごくやりやすいですよ
昨シーズンはリーグ6位の1試合平均82.0と攻撃力を発揮した一方で、リーグワースト3位の同83.7と多くの失点を喫してしまった。この夏はストロングポイントをスポイルさせることなく、ウイークポイントの解消に時間と労力を費やしてきた。
昨シーズンの課題は、ペイントエリア内での失点でした。それを減らすためにリバウンドはもちろんトランジションディフェンスや、1対1、ヘルプディフェンスなど、とにかくディフェンスに力を注いできました。相手に簡単に、レイアップを決めさせない。それに主眼を置いて、重点的にやりましたね
来季からトップカテゴリーがB1からBプレミアに移行するため、現行のフォーマットで行われるシーズンは今季が最後。地区割りも昨季までの3地区制から、今季は東西の2地区制に変更される。
2地区制になるので、1地区あたりのチーム数が非常に多い。そのなかでチャンピオンシップ(CS)に出られるのはたったの8チームという、本当にタフなリーグになります。CSに進めるのは東西各地区の上位2チームと、残り4チームは全体での勝率順。だから同地区チームとの戦いだけではなく、僕らなら東地区のチームとの対戦も重要です。今季はすべての試合で、ポゼッションが大事になってくると感じています。連敗してはいけないし、勝つならできるだけ多くの得点をあげてと、得失点差も気にしないといけない。これまで以上に、ひとつひとつのゲームがとても大事になってきますね
東西各13チーム、合計26チームのなかで、CSに進めるのはわずか8チーム。数少ない切符の1枚をつかむためには、どんなことが大事になると指揮官は考えるのか。
自分たちがやっているバスケットを信じる。選手同士、チームスタッフ同士、そして選手とスタッフ同士が本当に信頼し合う。そんなチームになったら、どんな相手にも勝てると僕は信じています
最後に、指揮官からファン・ブースターに届けられたメッセージを紹介する。
ファン・ブースターのみなさんには、チームで戦う姿をとにかく見てほしい。1勝することがより大変なリーグになったB1に、僕らはチーム力で挑みます。なにごとにも徹底的にチャレンジし、1試合1試合を全力で戦い抜いて、まずはCS進出を目指してやっていきます」
取材・文/カワサキマサシ

























































